CROSS TALK 03 ぼかし
CROSS TALK 03 ぼかし
CROSS TALK 03

製品開発編

SCROLL

動物たちの「見える」も、
サポートしたい

見えることの大切さは、人間も動物も同じ。
動物の眼科医療のさらなる発展のために、
シードができることとは何か。

INTRODUCTORY PRODUCTS ぼかし
INTRODUCTORY PRODUCTS ぼかし
INTRODUCTORY PRODUCTS

わんタクト・にゃんタクト

傷ついた角膜を保護するために用いられる動物用のバンテージコンタクトレンズ。治療用であるため、視力補正の効果はない。現在、犬用と猫用のコンタクトレンズが販売されている。犬用はチワワ、トイプードル、シーズー、ミニチュアダックスフント、柴犬、ラブラドール・レトリバーの6犬種に対応。獣医師のみ購入・取り扱いすることができる。人間用のコンタクトレンズよりも厚みがあり、扱いやすさと脱落しにくい設計が特徴。

私、獣医師になりたかったんです

H.T ぼかし
S.H
H.T ぼかし
S.H

わんタクト、にゃんタクトの開発は、とある獣医師の一言から始まった。

H.T

シードには、コンタクトレンズの開発でお世話になっている獣医の先生がいらっしゃいます。その方から「シードさんでも脱落しにくい動物用のバンテージコンタクトレンズをつくっていただけませんか」というお話をいただいたんです。

S.H

すでに動物用のバンテージコンタクトレンズは市場に存在していました。しかし、コストの問題などにより、獣医療での認知は低いものでした。なかには人間用のコンタクトレンズを使う方もいらっしゃるとか。人間と動物は眼球の大きさが異なるため、レンズを入れてもすぐに落ちてしまったり、逆に角膜に貼りついてしまったりすることもあるといいます。そのような状況を聞いて、是非開発させてくださいと依頼を受けることになりました。

H.T

私がこのプロジェクトに参加したときは、もうすでにHさんは研究を始めていましたね。動物用のバンテージコンタクトレンズの開発と聞いて、最初どう思いましたか。

S.H

私は上司からこのプロジェクトに誘っていただいたのですが、純粋に嬉しかったです。高校生の頃まで獣医師になりたいと思っていたので。

H.T

へえ、知らなかったな。

S.H

でも、結局獣医師になるのは諦めてしまって。シードに入社したときは、もう動物と関わることはないだろうと思っていたので、まさかの展開でした。

H.T

巡り巡って、やりたかった仕事に携われることになったわけですね。

写真 ぼかし
写真 ぼかし

柴犬1、柴犬2、柴犬3…柴犬n

H.T
S.H ぼかし
H.T
S.H ぼかし
S.H

今回の開発の課題は「落ちにくいコンタクトレンズを作る」です。そのためには適切なサイズを決める必要があります。人間の場合、眼球の大きさにほとんど個人差がないため、コンタクトレンズのサイズも1、2種類で済みます。しかし、犬は犬種によって眼球の大きさが異なります。そして大きさだけではなく、眼が露出している範囲も異なるため、ベースカーブ(コンタクトレンズの曲がり具合)、レンズ直径もそれぞれに合わせる必要がありました。

H.T

今対応しているのは、主にペットとして主要な犬種である、チワワ、トイプードル、シーズー、ミニチュアダックスフント、柴犬、ラブラドール・レトリバーの6犬種。他メーカーの動物用コンタクトレンズは体重ごとのサイズ展開だったため、この犬種ごとにサイズを展開するというのは初めての試みでした。6つのサイズを決定するまでに、膨大な数のデータを取っていたんですよね。

S.H

そうですね、何頭のデータを取ったことか…(笑)そもそも、動物の眼球の大きさやベースカーブを測定する専門の機械ってないんです。なので、人間用の測定器を使用しました。眼科医院に置いてある、顎を乗せて気球を見るあの機械です。犬は気球をじっと見つめるなんてことはできませんから、なんとか視点を一定にさせるために部屋を暗くして、気配を消して…獣医の先生方にもたくさん協力していただきながらデータを取りました。

H.T

キョロキョロしてしまっては、正確な数値が出せないですもんね。

S.H

だから、1回で測定が完了するはずもなく…1頭のデータを何回も繰り返し測定しました。そして、同犬種の違う子も複数回測っていく。こうして出てきたデータの中央値が、その犬種のサイズとして決定されます。

シードのレンズは落ちにくいレンズ

H.T ぼかし
S.H
H.T ぼかし
S.H
H.T

Hさんが時間をかけてたくさんの犬のデータを取ってくれたおかげで、無事に6犬種に対応するコンタクトレンズを完成させることができたわけですが。そこから量産、販売に至るまではスピード感を持って進めました。次のステップは完成したわんタクト・にゃんタクトをどうやって獣医の先生に買っていただくか。ここからが私たち営業の担当です。

S.H

動物病院への営業は、これまでにない取り組みですよね。

H.T

最初は勝手がわからなくて、動物病院を一軒ずつ回っていました。でも、これでは時間が掛かり過ぎる。そこで、協力を仰いだのがペットフードや動物用の医薬品を扱っている販売代理店様でした。全国の獣医の先生に広く商品の紹介をしていただいたのです。すると、わずか1年で全国の動物病院と大学病院を網羅する販売ネットワークを確立することができました。

S.H

短期間でここまで販路を拡大できたことは本当にすごいと思います。

H.T

ですが、先ほども言ったように動物用のバンテージコンタクトレンズはあまり認知されていない商材です。ほとんどの先生がその存在を知りません。そこで、販売代理店様にご協力いただき、獣医の先生に向けて勉強会を開催しました。わんタクト・にゃんタクトにはどんなメリットがあるのか、レンズの付け方や外し方、こんなときどうすればいいのかなど。現場ですぐに使っていただけるよう丁寧にレクチャーしたんです。そのおかげでチャレンジしてくれる獣医の先生が増えていきました。また、他メーカーの製品を使用していた先生方からも「シードのレンズは落ちにくいね」と言っていただけました。

S.H

本当ですか、それは嬉しいですね…!

H.T

Hさんの取ったデータがうまく機能した結果ですね。

写真 ぼかし
写真 ぼかし

眼の総合メーカーだからこそ
できることを

H.T ぼかし
S.H
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S.H
H.T

わんタクト、にゃんタクトの開発を通じて、動物の眼科医療にはまだまだ私たちにできることがある、ということに気づきました。診療科が分かれている人間と違って、動物病院では獣医の先生が一人ですべての病気を治療しています。そのため、眼科医療機器だけに多額の設備投資をすることが難しく、診察の幅が限られてしまっています。

S.H

人間にとってはどの施設でも受けられる検査や治療であっても、動物は一部の動物病院でしか受けられません。また、眼科は命に直結しない分野のため、優先順位が下がってしまっていることも考えられます。例えば、白内障治療には手術が必要ですが、人間の場合多くの方が治療を行うのに対し、動物の場合は手術による身体への負担やコストを考え、あえて治療しないという選択をすることも少なくありません。とは言え、見えなくなるというのは動物にとっても大きな損失です。そうなる前になんとかしてあげたい。動物の眼科医療において私たちができることは、眼科専門の獣医の先生でなくても扱いやすく、購入のハードルの低い医療機器を生み出すことだと考えています。

H.T

眼病予防や早期発見を実現したいですね。営業としましても、獣医の先生方が眼科診療に興味を持っていただくために、学会や主要地域でのセミナーを実施していく予定です。他にも、販売を担っていただく代理店営業の皆様に対する勉強会の実施や販促品の拡充などによって眼へのアプローチがしやすい環境づくりを目指していきたいです。

S.H

眼に関する総合メーカーだからこそ見つけることができる切り口から、動物の眼科医療のさらなる発展をサポートしていきたいですね。

写真 ぼかし
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